サーバーを仮想化していく上で問題となるのは、仮想化基盤への移行にかかる時間とコストです。既存の物理サーバー環境をどのように仮想化基盤へ移行していくか、その検討はとても重要なポイントと言えるでしょう。
OSやアプリケーションのインストールを初めから行い、その後でデータを移行する手段がまず考えられます。しかしその方法では、小さなシステムならまだしも移行対象が多いケースでは、移行にかかる時間とコストは膨れ上がるでしょう。
移行計画を立てて、移行に関わる各種手順書を用意し、リハーサルを何度か行い、問題点を抽出、何らかの想定外ケースによる移行失敗時の切り戻しも考慮しておかなければなりません。また、システム移行時は基本的に既存システムを停止させなければならないため、時間も限られ、オペレーションも迅速かつ正確に行わなければなりません。
それでは、もはやシステムのリプレース(古くなったり破損したシステムやハードウェア、ソフトウェアなどを新しいものや同等の機能を持った別のものに置き換えること)と同等の規模の時間とコストがかかってしまうと言っても過言ではないでしょう。
そのため、やはり初めから構築しなおす方法は現実的とは言えません。
そこで、既存の物理サーバー環境から仮想化基盤へ移行する際は、専用のツールを利用する方法を採用するケースが多いです。ツールによる移行を行うことで、(必ずしもというわけではありませんが)移行にかかる時間やコストを大幅に削減することができます。
VMware vSphereで仮想化基盤を構築、移行する際は、VMware社が無償で提供するVMware vCenter Converterを使用することになります。
移行の種類
ITの分野では、ソフトウェアやシステム、データなどを別の環境に移行することをマイグレーションと言います。
仮想化基盤におけるマイグレーションには以下のような種類があります。
P2V | 物理マシン(Physical Machine)で稼働しているシステムを仮想マシン(Virtual Machine)へ移行すること |
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V2V | 仮想マシンで稼働しているシステムを別の仮想マシンへ移行すること |
V2P | 仮想マシンで稼働しているシステムを物理マシンへ移行すること |
これらのマイグレーションツールは仮想化ソフトやサーバーの開発元などが提供しています。
次回からは、VMware vCenter Converterを使用してP2Vを行う手順について見ていきます。